一般社団法人 情報システム学会
浦昭二記念賞
第6回
授賞式 2021/12/11
受賞者

実践賞 株式会社ブロード

表彰理由:従来,情報システム部門の関心は業務アプリケーションの企画,設計・開発ステップに重点が置かれてきたが,最後のステップであり継続的に係わることになる運用管理ステップの技術の体系化,人材育成は本来最も重要な課題である。情報システムの大規模化,サプライチェーン化に伴い,システム障害の影響も大規模化しており,IT 運用管理,情報セキュリティ管理は一層重要になっている。
日本の SI 事業は,ソフトウェアの価値を人月ベースで価格設定(人月ビジネス)し,『作って終わり』という単発型ビジネスを行ってきた。しかし当該社は,海外ソフトウェア製品を日本市場に紹介し,レンタル/保守契約ベース(ストックビジネス)で販売・技術支援する継続型の事業のみを行っている。
本学会は,“真に人間中心の情報社会を実現する”ことを理念としている。当該社の経営理念は本学会の理念に合致するものであり,その活動は浦昭二記念実践賞の表彰に値するものである。当該社には,今後とも,IT 運用管理技術の体系化,製品の評価方法の確立によって,日本の IT 運用管理用パッケージソフトウェア市場の健全な発展に貢献されることを期待する。





第5回
授賞式 2020/12/4
受賞者

論文賞 井田 明男, 金田 重郎, 森本 悠介(同志社大学大学院 理工学研究科)
論文名 エンティティの存在従属分析のためのドメイン特化言語
所収誌 情報システム学会学会誌Vol. 15, No. 1, 2019

表彰理由:本論文は,記述が容易で,人間,機械ともに可読な,存在従属分析結果の概念モデルを記述することに特化したドメイン固有言語(DSL)を策定し,関係データベース(RDB)をエンティティの永続化手段,WebサービスAPI群をそれらへのアクセス手段とした開発への適用を提案した論文である。
本論文で提案されるDSL4EDA(Domain Specific Language for Existence Dependency Analysis)は,開発の現場で主に利用されているER図やUMLクラス図がグラフィカルベースのUMLダイアグラムの作成を目的としているのに対して,DSL4EDAはデータベース定義およびそれにアクセスするための API の仕様生成に主眼を置いており,業務で必要となることの多いWebサービスの実装に着目している点で,新奇性が高いと考える。また,実際にDSL4EDAに基づいて実装を行い,一般的な複数のモデルケースに対する実験・優位性の評価を行っている点で信頼性・有用性を十分に満たしていると考える。これらのことより,本論文で論じる内容は,情報システム学の進歩に貢献する研究論文として評価できる。
一方,本論文の特徴として,一見すると内容は難しいものではあるものの,論文内で使われている用語は簡易なものを用いていることや,複雑な説明の箇所では例示を設けていることなど,論文全般として読者への気配りが垣間見える。これは,より多くの会員・読者に理解を得ていただき,価値のあるものとなるための工夫の一つであると考える。
以上のことより,本論文は情報システム学会の論文投稿規定を全般的に高い水準で満たしており,他会員の手本となることが期待できる。よって,本論文を論文賞として表彰する。



実践賞 株式会社プライド

表彰理由:株式会社プライド(以下,当該社)は,下請け体質の企業が多いIT業界にあって,独立系の情報システム開発方法提供企業として,確かな原理に基づき現場を先導してきた。顧客企業の問題を直視し,利害が対立しがちな,利用者,技術者,経営者や国・社会といった関与者の協働を先導(ファシリテート)しながら問題解決を図っている。
現場で得たコンサルティングノウハウを有識者等の協力を得て体系化し,理論化しながら業界への普及に努めている。大学や学協会,官界,国際機関などとも相互協力している。これまでに3人の大学教員を輩出し,それぞれ教育界や学協会で活躍している。中央省庁へのノウハウ提供,国際会議への社員の派遣などを通して,社会への貢献をも果たしている。創業以来,ユーザ会の開催,学会における,出身大学教員の先導による研究会の定期的な開催により開発方法の進歩に寄与している。社員一人一人の自立精神を尊重し,和気あいあいとした雰囲気で業務を行っている。こうした個人,会社及び社会への貢献のために,適切な収益を定常的にあげる経営を持続している。また,学究的で気品ある雰囲気を醸成するために,代表者や役員自らが博士の学位を取得し原著論文を発表している。
以上に述べた通り,当該社は浦昭二の主唱による人間中心の情報システム,すなわち/諭ち反イ篌匆颪修里發里鮠霾鵐轡好謄爐塙佑┐襦き⊂霾鵐轡好謄爐旅獣曚砲録諭ち反サ擇喙匆馘側面を重視する, 情報システムを考えるには柔軟性が要請され,成長するものとして捉える,を三十数年にわたって実践し今後も持続し成果が見込まれると確信するので,浦記念賞・実践賞として表彰する。
参考:株式会社プライドのWebページ(代表者挨拶,事業,普及・啓発,沿革等)





第4回
受賞者 該当者なし






第3回
授賞式 2018/12/1
受賞者

特別賞「基礎情報学の創設による情報システム学確立への顕著な貢献」
    西垣通氏(東京大学名誉教授・東京経済大学教授)

選定理由:西垣通氏は、基礎情報学を創設し、研究を進められたことにより、人間、社会、情報技術に一貫した統一的な情報概念を明らかにし、社会の構成を、オートポイエーシスをベースにした階層的自律コミュニケーションシステム(HACS)として整理、浦昭二先生の提唱された、世の中の仕組みを情報システムとして考察し、その本質を捉える人間中心の情報システム学に対して、確固とした理論的基礎を与えられた。情報システム学会では2014年、浦先生の定義にもとづく新たな体系として『新情報システム学序説』を編纂したが、西垣氏の基礎情報学の研究があって、はじめて実現したものである。
基礎情報学により、現象学における本質直観、KJ法、企業における知識創造、人間中心情報システムの構築、さらに、GAFAと呼ばれている米国巨大IT企業の成長など、多様な人間と組織の情報行動が、いずれも情報システムプロセスとして説明可能となった。日本学術会議は2016年、情報学教育の参照基準に基礎情報学を採択した。
情報システム学会においては、西垣氏には2013年に情報システム学会常設の基礎情報学研究会主査に就任頂き、2018年までに、予定も含め23回研究会を開催、基礎情報学にもとづく情報システム学の新たな理論構築と基礎情報学をベースにした高校と大学の情報教育の刷新を推進して頂いている。また、情報システム学会のシンポジウム、HIS研究会等で、ネット社会、集合知、AIなど最新のテーマについてご講演、指針を示して頂き、さらに本日の第14回全国大会でも特別講演をお願いしている。情報システム学および情報システム学会への貢献はきわめて多大であり、浦昭二記念賞特別賞として表彰したい。





第2回
授賞式 2017/12/2
受賞者

特別賞「ISSJメルマガ連載“情報システムの本質に迫る”」
    芳賀正憲氏(本学会会員)

選定理由:2007年6月25日発行の本学会のメルマガ第10号に「情報システムの本質に迫る」第1回「『情報は形がない』か?」を投稿して以来,毎月途切れることなく連載投稿され,2017年9月28日の第124回「新しい会社をつくる」に至っている。124回に亘って毎回,基礎情報学,情報システム学の研究方法論及びその研究動向,情報システムの構築・運用に関する実践事例,社会的トピックスなど様々なジャンルの話題を取り上げ,情報システム学の視点から分析し,学会員に様々な情報を提供している。この連載は,全体を通して,情報システム学の理論的バックグラウンドの確認,強化だけでなく,情報システムのさまざまな実践の場面において情報システム学をどのように適用すればよいのか,どのような視点が有効なのかを具体的に例示してくれている。
また,この連載を積み重ねることは,本学会の目指す情報システム学の実存と体系を明確にしていくことにも繋がるであろう。本連載における論考は,本学会が出版した「情報システム学序説」に取り込まれるなど,学会活動にも影響を与えている。
この長期にわたる努力に敬意を表するとともに、併せて今後も継続して投稿されることを期待して,特別賞として表彰する。




功績賞「情報システム学発展への顕著な貢献」
    松平和也氏(本学会会員)

選定理由:松平和也氏は、企業におけるコンピュータ導入の黎明期から一貫して企業経営における情報活用の重要性を説き、多くの企業の情報システム化を指導してきた。また、情報システム化のバックボーンとなる情報システム学の確立に実務面から尽力し、情報システム学会の設立、運営に多大な貢献をされた。以下に記す同氏の情報システム学発展への種々の貢献を功績賞として表彰する。
  • 1975年、米国ミルト・ブライスアンドアソシエイツ社より情報システム開発方法論PRIDE(プライド)を技術導入し、日本で初めての開発方法論として国内企業の情報システム部門への導入、普及を推進した。
  • さらに情報を人、物、金に次ぐ第4の資源として経営に活用する情報資源管理の普及推進と合わせて、その国際標準化にも尽力し、企業における情報を資源として活用する経営情報システムの開発推進、開発効率化、システム品質の向上に大きく貢献した。
  • また、この方法論を有償で提供し続けたことは、日本において当初はまだ意識の乏しかったノウハウおよびソフトウェアの有償化の浸透に大きく貢献した。
  • 企業における情報システム化指導の経験をもとに、浦昭二先生の情報システム学研究を実務面からバックアップし、浦昭二先生の唱える、人間中心の情報システム学の発展に多大な貢献をしている。
  • それに加え、個人としても企業倫理、人権など、オリジナルな発想による情報システム学の展開を検討し、情報システム学会の研究発表大会では毎年欠かさず、自ら研究成果の発表をしている。すなわち、大会の成功と情報システム学の新たな分野の開拓・発展に多大な貢献をしていると言える。また研究発表大会の質疑の場では、毎回、貴重で斬新な発言により議論をリードし、質疑の質の向上、ひいては情報システム学会の活性化に大いに貢献をしてきた。





第1回
授賞式 2016/11/12
受賞者

実践賞「患者志向情報システム開発・活用による地域医療への貢献」
    合同会社 水野薬局

選定理由:1964年に初めて調剤薬局を開設して以来、患者記録の収集、保存、活用の必要性について訴求し、1980年に業界初の患者志向薬局システムを実現し、以後RFIDを活用したトレーサビリティの導入、膨大な患者記録を活用し処方箋受付時に副作用などの警告を発するシステムの開発など改善を継続し、当システムを他社にも販売するなど患者(人間)を重視した情報システムを長期にわたり提供し、地域、社会に貢献していることは表彰に値する。

参考:水野薬局ホームページ(http://www.drug.com/ja/index.html


実践賞「コンピュータ概論――情報システム入門(第6版)の出版と継続的な情報リテラシ教育の実践」
    魚田勝臣氏(代表:専修大学名誉教授)、渥美幸雄氏(専修大学)、
    植竹朋文氏(専修大学)、大曾根匡氏(専修大学)、
    森本祥一氏(専修大学)、綿貫理明氏(専修大学)、
    石井徹也氏(共立出版)

選定理由:コンピュータの仕組みやプログラミング、パソコン操作が中心の情報リテラシ教育用教科書が多い中にあって、情報の重要性を説き、情報システムは社会、組織体または個人の活動を支える適切な情報を収集し、加工し、伝達するための、人間活動を含む社会的な仕組みであるという定義に基づき、情報システムを学ぶことが重要であり、コンピュータやネットワークはそれを構成する要素であるとの立場を明確にした教科書を提供し続けている。情報通信技術の進展に伴い、第6版まで改定を続けるとともに、学生が学習意欲を持続するような構成、教育法を工夫していることも表彰に値する。

参考:魚田勝臣ほか「コンピュータ概論――情報システム入門」第6版 共立出版 2014




芳名録


規定


浦昭二記念賞推薦書様式
 
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