情報システム学会誌第19巻　第2号

［巻頭言］

国や自治体の仕組みの再設計の必要性と情報システム学会に期待されること

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［研究論文］

著者: 安彦智史，藤本雄紀，日下恭輔，谷口花菜子
表紙: pdf
要旨: 情報教育の重要性が増す中で民間の子ども向けプログラミングスクールの数や市場規模も年々上昇傾向にある．情報通信産業や情報学に関連する高等学校において，男女比は男子に比率が傾いていることが多く，業界や学習環境における男女のジェンダーギャップ解消は大きな課題の一つである．この傾向は，子ども向けプログラミングスクールにおいても同様である．子どもの習い事は，子ども自身の習い事への意欲のほかに，保護者の思想や考え方，世帯収入や学歴などを包含した家庭環境が影響する可能性が高いと考えられる．そこで本研究では，女子プログラミングを積極的に推奨するプログラミングスクール向けイベントKIKKAKEにおいて，5歳～13歳の女子の保護者を対象に調査アンケートを実施した．本イベントでアンケートを実施することで，女子にプログラミングを習わせてもよいと思う親の主観的なプログラミング教育に対する認識，プログラミング教育の捉え方，プログラミングを子に習わせたい目的，民間のスクールに求められていること，他の習い事との相対的な立ち位置などについて調査を実施する．

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［研究論文］

著者: 横田修一
表紙: pdf
要旨: 本稿の目的は，企業においてクラウドを戦略的に活用する上での情報システム部門のITケイパビリティと企業の競争優位につながる仕組み(メカニズム)を明らかにすることにある．情報システム部門がクラウドを効果的に活用していくために必要となるケイパビリティと，そうしたケイパビリティが企業の競争優位に及ぼす影響については十分に検証されていない．この課題に対し，本稿では先行研究よりクラウドを戦略的に活用する上で，情報システム部門に求められるケイパビリティを特定し，それらのケイパビリティと企業の競争優位につながる因果関係を仮定した要因構造モデルを構築する．構築したモデルをアンケートによる検証を通じ，モデルの有効性を明らかにすることを目的としている．企業の情報システム部門に所属する課長以上の従業員に対するアンケート結果からは，クラウド利用リスクの認識から情報システム部門がプロセス指向ダイナミックケイパビリティを発揮して，クラウドを活用していくことが企業の競争優位につながることが明らかになった．

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［事例実践論文］

著者: 新保利弘，岡田陽介，藤本敬介，宇野健人，西村秀和，松原仁
表紙: pdf
要旨: 多くの企業がデジタルトランスフォーメーション（DX）を進める中，AIの積極的な活用が検討されている．しかし，長年にわたる改善活動で進化してきた生産現場のプロセスにAIを導入する際には，異常時のデータ取得の難しさや全データのセンサリング不可能性などから，高精度な機械学習モデルの構築が困難であり，期待される精度とのギャップが大きな障壁となっている．本研究では，このような課題の解決を目指し，Human in the Loop Machine Learning（HITL）の原理を活用して，人間とAIの協調を実現する運用プロセスのアプローチを提案する．具体的には，化学企業のAI腐食診断システムを事例に，HITLに基づく人間とAIの協調を含む運用環境のシステムアーキテクチャを定義し，評価する．開発ステージで完全に学習を終えなくても，運用ステージでの人間とAIの協調を通じて，運用・開発プロセスを連携させるアーキテクチャに基づき，業務プロセスの中でのAIの有効活用を実践的に報告する．本研究は，AIを効果的に組み込むための新しいアプローチを提供し，現場起点の考察を提供するものである．

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［第16回情報システム学会シンポジウム］

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