AI主導型サイバー攻撃の台頭により,人間側の「Cyber Judgment(サイバー判断力)」の欠如が深刻化している.攻撃者はAIにより侵入作業を自律化し,攻撃は機械速度へ移行.開封率が非常に高いAI生成フィッシングなどにより,「機械速度の攻撃者 vs 人間速度の防御者」という非対称性が生まれ,従来の意識啓発研修は限界を迎えている.本論説は失敗の根因を「経験の欠如」と捉え,知覚・解釈・行動の各段階で生じる障壁を指摘.対策として,(1)体験型学習による経験の獲得,(2)判断習慣の神経回路レベルでの自動化,(3)人事制度への統合による組織能力化,の三本柱を提示し,判断速度・精度の向上と国家的レジリエンス強化を展望する.