セッ ション:社会と情報システム

SOC-01グローバル・アライアンス(GA)研究会の活動報告 “GA必要な考え方

     槇本健吾(インサイト・コンサルティング)

【概要】ICT業界におけるグローバル展開は一般的になりつつある反 面、オフショアリングにおける品質、コスト、時間の各要素においてビジネス的に厳しい状況が顕在化するようになってきました。そのため、より低コストの人 材を求めて新興国へ目を向けたり、逆に沖縄などの国内地方に目を向けて開発拠点の分散化を図る企業も出てきました。一方で、海外人材から見る日本市場の魅 力はアライアンス戦略の不明確さや報酬面で徐々に薄れつつあります。本研究会では、グローバルアライアンスの現状を踏まえて、アライアンスの成功と強化に 必要な要素は何かを人材マネジメントの視点から浮かび上がらせ、産業界への還元を試みます。今年は中間報告と位置づけて、活動経過報告を致します。

 

SOC-02ユーザ参加型の著作権管理システム

      芦田良貴(早稲田大学)

【概要】従来の著作権管理システムは著作権者のための システムであった。そのため、行き過ぎた著作権保護に対する批判がユーザ側から提起されてきた。今では、BLOGSNSが一般に広く普及し、ユーザ側からの情報発信が普遍化 している。しかし、一部の動画サイトなどでは、他人の著作物を勝手にアップロードするユーザが跡を絶たず、これも問題化している。本論では、このような矛 盾を解決する画期的なソリューションを提示する。

 

SOC-03行政組織における集団意思決定過程の分析と政 策形成の課題

      高木昭美(早稲田大学 大学院社会科学研究科)

【概要】本研究では、行政組織、特に都道府県における 意思決定過程について、意思決定論の観点から、具体的な事例に則した分析を行っている。すなわち、知事許可が必要な事案の取り扱いをめぐって、これを担当 する課の職員の意見(選好構造)が異なる場合に、課としての組織的な意思決定をする方法と問題点について、意思決定論的立場から記号モデルを用いて行政組 織の意思決定のロジックを抽出している。

 

SOC-04中心市街地における協働プラットフォームデ ザイン

      梅嶋真樹(慶應義塾大学  大学院政策メディア研究科)

【概要】インセンティブとして鉄道料金の消費者への還 元はダイレクトメールと比較して平均5倍程度の来店誘発効果を生むことがあきらかになった。 我々は2003年より従来顧客囲い込みを主目的に小売店が導入してき た顧客カードを中心市街地における小売店の協働の再活性化に利用するモデルをデザインしてきた。本発表における主張は、大手鉄道会社の協力を得て実施した 実証実験の結果である。

 

SOC-05情報システムの共同処理化への作業課題

東京都多摩地域の共同処理事例を中心に ―」

     大谷二郎(日野市役所市民 部七生支所)

【概要】全国の市町村は、いわゆる平成の合併により約3200団体から1800団体に減少した。合併によるシステム統合は、情報シス テム統合の一形態に分類されるが、合併による統合以外に、複数の市町村で情報システム開発・運用(共同処理)による統合も存在する。東京都多摩地域の共同 処理事例を中心に、システム構築、運用の課題、留意点及び特徴を市町村単独処理との比較をとおして、エンドユーザー部門の視点からを整理した。

 

SOC-06情報市場と経済的意思決定

      河合勝彦(名 古屋市立大学 大学院経済学研究科)

【概要】「市場」の最大の機能とは、社会に偏在する情 報や知識を「価格」というシグナルで集約することであると伝統的経済学は教える。この市場の機能を、ITの力によって増幅させ、より積極的に利用しようと考え るものが、「未来の予測」を株式に見立てて売買をおこなう「情報市場(Information Market)」である。本稿は、この情報市場を特に日本経済におけ る意思決定問題(経済政策、経営問題)に活用する方法について考察し、その将来性と問題点について議論する。