セッ ション:「人間中心の情報システム」

HIS-01ソフトウェア・グリッチの予防

    冨永 章(日本IBM、東京大学大学院)

【概要】ソフトウェアのちょっとした間違い(グリッ チ)が大事故に繋がるリスクが高まっている。とくに組込みプログラムの複雑化は著しく、グリッチの影響も目立つ。しかし企業の情報システムはさらに複雑な 場合が多く、世界中でソフトウェア・グリッチが危険視されている。設計時の誤解や見落としに対しては、適切なテスト・ケースが作られないため、欠陥として 残りがちとなる。本稿ではソフトウェア・グリッチの経緯、原因、現状を述べ、今後に向けた予防策を提言する。

 

HIS-02情報システム学の枠組み

    中嶋聞多(信州大学 人文学部)

【概要】昨年の研究大会では、西垣情報学と の比較を軸 に、情報システム学のあるべき姿を探った。今回は、「人間中心の情報システムを考える」セッションのたたき台として、より具体的な情報システム学の枠組み を提示することによって、議論を深めたい。とくに、情報システム学の理論的背景と取り扱う範囲、さらに実践性をいかに担保するかという点に留意しながら議 論をすすめるつもりである。

HIS-03業務改革、情報システム活用と意識改革

    甲斐莊正晃(株式会社KAINOSHO

【概要】企業にとってマーケットや顧客ニーズの変化に 対応するため、業務改革を継続し情報システムの積極的な活用を図ることが欠かせない。現場で日常業務を担当する社員に、従来の仕事のやり方を捨てて新しい 業務プロセスを採用させ、また新たな情報システム機能を活用させるためには、社員の意識も併せて変えていくことが必要となる。本発表では、実際の企業での 社員意識改革の取組みを取り上げ、業務改革、情報システム活用と意識改革の関係について考察する。

HIS-04情報システム部の新らしい役割−CEOの情報参謀

    松平和也((株)プライ ド)

【概要】情報という日本語は明治初めに生まれた軍事用 語であるという。敵情報知を略して情報としたという。山県有朋は情報参謀を陸軍参謀組織に配置して日清日露の戦争に勝利した。太平洋戦争になると作戦参謀 が目立ち情報参謀は活躍しなかった。近代ビジネス戦争においても情報システム部門は極めて地味な貢献にとどまっている。現代のCIOは情報参謀として機能しているのだろうか。これからの 情報システム部門は情報参謀を育成し競争場裏にある企業の敵情を報知し負けない戦いを繰り広げていけるのだろうか。その戦略は?

 

HIS-05「情報の評価と価 値」

    田沼 浩(駒澤大 学法学部・法科大学院)

【概要】「価値のある情報」とは何か。この最も基本な 事項は、ユビキタスネットワーク構築のためには不可欠な命題であり、システムを構築する中でユーザーとベンダーの壁となって現れる問題です。法情報学にお けるリサーチとプロファイルに関連して研究した結果から、この命題について一定の解釈を導き出した論文です。【項目】@情報は力か?、A情報の対価、B情 報の価値と評価(情報の価値、専門家からのアドバイス、情報の比較による評価、裏付けのない情報、情報の評価、情報の目利き)、C情報の共有化と価値。