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     3トラック: 「モデリングと情報システム実践」 

オブジェクト指向によるドメイン・モデル作成方法は、対領域から名詞に着目してクラス抽出を行いそれらの意味的関係を関連で表すのが一般的である。この方法は必ずしも分かり易い方法とは言えず、特に初心者にとってオブジェクト指向阻害要因のひとつとなっている。筆者の提案する方法は、それ自体で存在し得る「独立エンティティ」をまず発見し、次にイベントにより発生する独立エンティティ間の「関連クラス」を発見する手法である。この手法によりドメイン・モデルが自然に作成できることを例を挙げて示す。

発表者: 河合昭男 (オブジェクトデザイン研究所)

情報システムはデータとプログラムからなる。データについては、正規化設計法があり、誰がやってもほぼ同じ概念設計結果が得られ、データの重複が避けられる。プログラムについては、そのような基準がないために、概念設計結果が設計者によってまちまちになり、プログラムの重複を防止することが難しい。本論文では、正規化されたデータオブジェクト間の参照可能性に基づいて、オブジェクト間に責務を機械的に配分する方法を提案する。

発表者: 佐藤英人 (東京国際大学)

Webアプリケーションの世界では、入門レベルとフレームワーク・コンテナを駆使するレベルに大きな段差があり、この間を埋める教材が欠けている。本論文では、本格業務用とは異なる教育用フレームワーク・コンテナが持つべき要件を整理し、学生教育用に開発した試作例とそれを用いた学習教材を紹介する。言語にPHP5を使用し、特別なインストールは不要、簡単なことは簡単に実行できる、段階的に学習できるといった特徴がある。

発表者:  佐藤英人 (東京国際大学)

ビジネスのいろいろな分野でOSS(オープンソースソフトウェア)とXMLが注目され,積極的な利用が進んできている.本発表では,ソースプログラムから設計情報を抽出する逆エンジニアリングツールの開発や,ネットワーク環境に分散するデータを管理するシステムの開発において,OSSXMLを活用した経験を踏まえ,これからの情報システムでのOSSXMLのあり方について述べる.

発表者: 前田和昭 (中部大学

XMLは再利用性に優れたデータ記述言語である」と言われるが、一般的に「再利用」されるのは個々のXMLインスタンスであることが多い。本論文では、個々のXMLインスタンスを再利用するにとどまらず、「①個人が作成したXMLスキーマ(特定の目的を持つXMLの構造を定義した定義内容) ②そのスキーマに基づいて作成されたXMLインスタンスを処理するモジュールやサービス」が、同じXMLの利用目的を持つユーザに再利用される」ための レポジトリを提案する

発表者:穴沢悦子 (インフォテリア)

現状の企業の情報システムは社員番号、製品番号など、そのものの実体を表す名称とは別に実体を表す符号としてのコードが定番として存在し、その存在を前提として情報システムは作られてます。勿論、データベースもこれに準じて設計されております。従って、情報システムから情報を得るには常にコードが媒介してます。しかし、現実の社会は相変わらず実体は名称で識別されております。どこそこの何々です。この「どこそこの何々」をもって現実の社会と情報システムのデータベースを『誤り無く』繋ぐことは本当に不可能であるか?データベースの設計と更新の方式を変えることで「どこそこ」が変わり「何々」も変わっても可能なことを実例をもって示します。

発表者: 堀田正隆 (プロ・アクシス

データベースを設計するに当って、正規化すべきか、非正規化で良いかは以前から情報システムを作る人達の間で問題となっておりました。理論データベースは正規化でなければならないが物理データベースは非正規化も許すという折衷策のような形で進行してきたのがこれまでのデータベース設計理論でありました。しかし、物理データベースについて言えば非正規化も「許す」ではなく、非正規化こそ「正しい」と言えます。このことを実例を挙げて証明し、これまでの議論に決着をつけます。但し、どうしても非正規化してはならない場合があります。その境はどこにあるか、その境界も明らかにします。

発表者: 堀田正隆 (プロ・アクシス

先ず、企業情報システムにおいて不安定とはどういうことかを挙げておきます。①同じ操作をしても結果が異なることがある。状況は刻々変わっていくので原因は分からないままになる②過去データは過去に取り出したものと現在取り出したものと同じでない③利用者から見て原因不明の停止が起こる(デッドロックが代表的な事例)。以上3つの不安定問題は履歴記録方式を採用することで完全に解決可能です。このためには、リレーショナルデータベースの考え方は変えずにデータベースの設計理論だけ変える必要があります。この方式では、排他制御せずにデータの整合性を保つことが可能であり、排他制御しないことからデッドロックは起きません。以上について実例をもって示します。

発表者: 堀田正隆 (プロ・アクシス

日本からISO/IEC JTC1SC32に提案している国際標準(ISO/IEC CD 19763)“メタモデル相互運用枠組み”の基本的な考え方について説明し、情報システムの構成要素の共有のためのレジスト構造について考察する。特に、メタモデル、モデルの体系的な分類、登録、利用について新しい方式を提案する。さらに、情報システムの相互運用に不可欠な情報の変換のためのメタデータの管理についても提案する。

発表者: 大林正晴 (管理工学研究所)、 堀内 一(東京国際大学)