情報システム学会 メールマガジン 2012.1.1 No.06-09 [10]

連載 著作権と情報システム
第33回 文化庁案 著作権審議会第六小委員会中間報告(25)

司法書士/駒澤大学 田沼 浩

1.著作物

[3] 文化庁案「著作権審議会第六小委員会(コンピュータ・ソフトウェア関係)
       中間報告」(25)

「中間報告の結論」著作権法におけるコンピュータ・ソフトウェアの保護の問題に関する対策

3.著作権者人格権の制限
 プログラムに対する著作権法の著作者人格権を適用については、これまで述べたとおり、プログラムのバージョンアップなどに対する同法第20条「同一性保持権」の適用関係を明確にすることになった。プログラムの著作物を修正したり、より効率的に利用しやすいように改変することである。そのため、第20条第2項第3号を新たに設けられることが適当と判断された。
 中間報告に沿って、著作権法第120条を改正し、同条第2項第3号が新たに設けられた(昭和60年6月14日法律第62号により改正)。
【著作権法第20条第2項】
2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない。
  一 第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項又は第三十四条第一項の規定により著作物を利用する場合における用字又は用語の変更その他の改変で、学校教育の目的上やむを得ないと認められるもの
  二 建築物の増築、改築、修繕又は模様替えによる改変
  三 特定の電子計算機においては利用し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において利用し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必要な改変
  四 前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変

引用・参照文献
著作権法概説第13版、半田正夫著、法学書院、2007年
著作権法、中山信弘著、有斐閣、2007年
ソフトウェアの法的保護(新版)、中山信弘著、有斐閣、1992年
岩波講座 現代の法10 情報と法、岩村正彦、碓井光明、江崎崇、落合誠一、鎌田薫、来生新、小早川光郎、菅野和夫、高橋和之、田中成明、中山信弘、西野典之、最上敏樹編、岩波書店、1997年