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     2トラック: 「情報システム学と人材育成」 

情報システム教育において,論理回路はコンピュータアーキテクチャの基礎的な内容であるが,文科系の学生にとっては難解に感じられるようである。一方,教員にとっては文科系学生に適した教材が見あたらないために,表面的な解説に留めていることが多いようである.その結果,学生は論理回路の仕組みをイメージできないために,コンピュータの本質を捉えられない可能性がある.そこで,回路の動作を目で見て確認しながら,回路図と同じレイアウトの論理回路を手作業で組み立てられる学習キットを,筆者らは開発した.

発表者: 三池克明 (日本工業大学 )、斐品正照 (東京国際大学)

インターネットの普及に伴いユーザが利用できる情報は比較的に増大し,その情報のより有効な活用のためにセマンティックWebなど,オントロジー化が試みられている.ただし,いわゆる業務システム・レベルでの活用を考えた場合,従来より業務システムおいて盛んにおこなわれている情報の標準化が,インターネット上のオントロジーに関しても必須となる.このような背景をもとに,ISO/IECの場で検討されているMMF Ontology Registrationの動向と,その業務システムへの適用について考察する.

発表者: 岡部雅夫 (東京電力)

概念スキーマ(概念クラスモデル)構築は上流工程の要の一つであるが、現状は要員スキル依存で品質のばらつきが大きい。そこで、オントロジー技術に基づき業務概念体系をデータ構造化し、本情報を活用して要求文書等から概念クラス図案を導出することでモデラーを支援する方法を提案する。

発表者: 神谷慎吾 (慶応義塾大学大学

プロジェクトマネジメントの目標は、「プロジェクトの利害関係者の要求や期待を充足する」ことである。利害関係者には、プロジェクトメンバーも含まれる。しかし、従来のプロジェクトは、ともすればスポンサーやユーザの利害に焦点を置いてきた。本発表では、反復型開発を用いて成功したプロジェクトを例に、メンバーが大きな犠牲を払わずにすむ「人間的なプロジェクト」のために、どのようなアプローチが有効であったのかを論ずる。

発表者:藤田雅之(日本アイビーエム )、和田真理(同左)

情報システム人材育成に多くの企業が頭を悩ませている。特に2007年問題に象徴されるように、継承の問題をはじめ、技術の幅の広がり、進展の早さ等の要因で従来型のOJTによる「先輩の背中を見て育てる」式の教育が多くの場合、功を奏さない状況となっている。一方、国内のみならず、インド・中国をはじめASEAN諸国を中心に海外勢との熾烈な競争を余儀なくされているのも事実である。本論文では、グローバルにもドメスティックにも競争優位をもたらす人材育成の視点とは何かをコンサルティング実践事例を通し例証することを試みるものである。

発表者: 森川大作(インサイト・コンサルティング )、槇本健吾(同左)、

      早川賢雄(同左)、田原慎治(同左)

マーケティングは、消費者、利用者から視点を大切にしている。送り手であるメーカーは、顧客の考え方や購入行動を充分に理解できないばかりでなく、マーケティング活動に対してメーカーの制約条件が支配しがちであるからである。情報システムの設計,開発サイドも、メーカーと同じように利用者のことがよく分からない、あるいは利用者のことを考えにいれにくい、ということがないだろうか。そこで、システム開発を商品開発、利用者との接点を情報システムサービス、利用者への啓蒙、アドバイスをコミュニケーション活動と置き換え、マーケティング視点で情報システムを捉えようとしている。

発表者: 柴田亮介(マーケティングプランナー、立教大学社会学部非常勤講師)

日本のソフトウエア産業は国際競争力があるとはいえない。その大きな原因としては、系統的なソフトウエア教育を受けたIT技術者が大幅に不足していることが挙げられる。我々は20044月から現役IT技術者を対象としてスーパーSEセミナーを開講している。スーパーSEセミナーは、ACM等が提案しているCCSE2004カリキュラムに準拠しており、教育プログラムの構築には、佐賀大学におけるJABEE認定プログラムの構築・運用経験が活かされている。本発表では、スーパーSEセミナーの授業設計について報告する。

発表者: 掛下哲郎 (佐賀大学)、大月美佳(同左)

近年、普及の著しい「Web-Log(ブログ)」を始めとするインターネットを活用するミドルメディアシステムを積極的に利用、応用して、学会運用における情報の共有化、会員間のコミュニケーション、学説の発表、智材活用をより活性化させるための方法論、システムの運用の留意点、将来に可能性について展望を示すと共に、運用実例の紹介をする。

発表者: グローマン・ヒロスケ岩倉 啓祐  Telecommuting-Lab

以前、私は情報システム研究の世界的な動向についてレビューをおこなった。今回はIS学会が-発足し、その第1回研究発表大会ということもあって、あえてIS学の「べき論」をとりあげようと思う。この際、比較のために、情報学がたどった道筋を示しながら、IS学が同じ過ちを繰り返さないために、どのような学問領域をめざすべきか私見を提示し、参加者の方々との活発な議論をおこないたい。

発表者: 中嶋 聞多 (信州大学)